“クラック”って何ですか?
クラックとは、金型表面に現れるひび割れのことだよ。クラックが現れるとダイカスト製品の寸法が外れたり、製品表面の品質が低下するから、不良率に直結する大事な現象だね。
へぇー、そうなんだ。どうしてクラックは発生するんですか?
ダイカスト金型は、700度ほどの高温のアルミが金型に圧入されて鋳造するんだけど、それに伴って金型表面は溶湯との接触により温度が上がる。
その後、製品を取り出した後などに外部から冷水や水溶性の離型剤が塗布されて、金型表面温度が急激に下がり、収縮しようとする。しかし金型内部はすぐに温度が下がらず収縮が小さい。そのため金型内部が表面の収縮を拘束し、金型表面には高い引っ張り応力が発生する。
その差が、割れやクラック発生になるんだよ。
なるほど。でもそうなるとダイカスト鋳造では避けられない現象なんですね。では、対策としてはどうすればいいんですか?
クラックに対する対策はいくつかあるんだけど、例えば金型表面を高硬度化することにより熱間強度を向上させる表面処理や外部冷却や水溶性離型剤の塗布による急冷を抑制したり、数万ショット毎に行う定期再窒化処理などがあるね。
クラックは、ダイカスト金型の寿命を決める最も大きな原因となります。しかしそれ以外にも下記のような原因が考えられます。
- 型割れ
- 溶損
- 磨耗
- 腐食
クラック(ヒートクラック)は、発生後には内部冷却周辺からクラックが進行したり、またクラック部にアルミが差し込んで、立ちバリが発生するなど更なる品質低下の原因となってしまいます。