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ダイカスト金型の品質保証

大量生産される製品の品質管理には、設計段階と量産段階があり、それぞれに適した手法があります。設計段階では『試作し試験する』というのが基本的な手法ですし、量産段階では『抜き取りし試験する』という方法に変わります。これらの試験結果を統計的に扱うことで品質保証をする手法は、戦後間もない1950年のデミング博士の来日から始まる長い歴史あり、戦後復興、高度成長の原動力の一つになったことはよく知られた話となっています。

金型はオーダーメイド品です

金型はオーダーメード品です金型はオーダーメード品です

ところが、ダイカスト金型を含め金型の品質保証には、これらの手法をそのままでは取り入れることができません。

金型は通常一個しか作りません。試作もしません。金型を使って大量生産することはあっても、金型自体を大量生産することもありません。お客さまからの注文にもとづきオーダーメイドの金型を一つだけ作ります。さらに金型業界に詳しくない方では驚かれるかもしれませんが、一部の特殊な事例を除き、多くの金型メーカーでは製作した金型での試し生産(試し鋳造)すら行いません。

「試験をしないで品質保証などできるのかだろうか」と疑問に感じられるかもしれません。しかし、このような形態をとる業種は金型業界だけではありません。建設業などはその典型例といえるでしょう。ビルは地形や建蔽率などの影響を受けるため、2つと同じ建築物が作られることはありませんし、設計通りの耐震性能を発揮するかどうかの試験もしません。また、自動車修理でも、故障の程度によって修理作業は異なり、その修理で本来の性能に戻ったかどうかの試験もごく簡易的なものだけです。大量生産する製造物でも、最終製品に組み込まれない限り能力の計測ができないものはいくらでもあります。

金型のプロセス保証とは

これらのように試験をすることが難しい製品、統計的処理ができない製品の場合には、プロセス保証と呼ばれる手法を用いて品質保証をしていきます。

プロセス保証とは「良いプロセスで生産された製品は良い製品である」という考えにもとづきます。これは、清流の保全に例えられて説明される場合があります。清流を保全するためには、川の中の汚れを取り除いておくとともに、新たな汚染の原因となる工場や家庭の排水が流れ込まないようにすることが不可欠です。

プロセス保証でいう汚れとは、不良の原因となる要素です。金型で言えば、不完全な図面やバラツキのある素材、整備不良の機械、曖昧な作業手順などが代表例にあたります。これらの要素を一つ一つ取り除いていくことで、不良のない金型を毎日生産することが可能となります。今日では、プロセス保証こそが品質保証の主流となっています。試験による品質保証では、川の水を試験というフィルターで濾すようなもので、それだけでは完全な清流を取り戻すことはできないと言われています。

プロセス保証とは、清流を保全する活動に例えられますプロセス保証とは、清流を保全する活動に例えられます

フジイ金型のプロセス保証体制

確立された生産プロセス確立された生産プロセス

フジイ金型では年間300型以上の金型が生産されており、よどみなく流れる生産プロセスが確立されております。上流部となる設計では、3Dモデリングの全面導入、シミュレーションチェック、出図前の複数人チェックなどを行っています。中流部となる製造では、素材の受け入れ基準や設備の定期点検、作業前確認、納品前の複数人チェックが行われています。下流部となる修理や保守でも、熟練作業者の選抜基準の設定や作業前確認、複数人でのチェックなどを確実に実施しています。その他、ヒヤリハット情報の共有や、定期的な勉強会、設計、製造、修理の各部署間での情報共有を行う仕組みをとおして、業務プロセスの改善が日々続けられております。

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